2019/06/27 通常国会閉会/新・担い手3法成立/著しく短い工期禁止、施工時期平準化を努力義務
【建設工業新聞 6月 27日 2面記事掲載】
◇改正独禁法で課徴金減免拡大
第198通常国会が26日閉会した。国土交通省が提出した改正建設業法と改正公共工事入札契約適正化法(入契法)と、議員立法の改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)からなる「新・担い手3法」が成立。建設業の最優先課題に当たる将来の担い手確保へ向け、改正公共工事品確法で受発注者の基本的責務を規定。その具体策を改正建設業法と改正入契法に盛り込んだ。
国交省が提出した計6本の法律はすべて成立。このうち改正建設業法と改正入契法は1本に束ねて法案を提出した。
改正建設業法と改正入契法の目的は、▽建設業の働き方改革促進▽建設現場の生産性向上▽持続可能の事業環境確保-の3点。働き方改革を促すため、改正建設業法で中央建設業審議会(中建審)が工期に関する基準を作成・勧告し、著しく短い工期による請負契約の締結を禁じる。改正入契法に基づく適正化指針で公共発注者に必要な工期確保と施工時期平準化を努力義務化する。
改正建設業法では建設業許可基準を見直し、経営能力の許可要件となる経営業務管理責任者に関する規制を緩和。建設業経営の5年以上の経験を個人に求めていたが、経営管理責任体制の確保を組織に求める。社会保険加入対策を一段と強化するため、社会保険への加入を許可要件化する。
改正公共工事品確法は、災害時の緊急性に応じ随意契約や指名競争入札など適切な入札契約方式の選択や、債務負担行為や繰越明許費の活用により翌年度にわたる工期設定などの責務を公共発注者に課す。調査や設計などの業務も同法の対象として明確に位置付けた。
このほかに成立した国交省提出の法律には改正建築物省エネ法がある。大規模非住宅建築物(延べ床面積2000平方メートル以上)の新築時に限っている省エネ基準への適合義務対象範囲を拡大。中規模非住宅(300平方メートル以上2000平方メートル未満)を加えた。
国交省以外の政府提案で成立した法律を見ると、公正取引委員会(公取委)提出の改正独占禁止法(独禁法)が成立。入札談合やカルテルなどの取引違反行為を公取委に自主申告した企業に対し、納付を命じられる課徴金が減免される制度を見直す。新たに減免対象となる企業数の上限を撤廃し、実態解明への協力度合いに応じ減額幅を広げる特例措置を導入する。
内閣府が提出した国家戦略特別区域法改正案は廃案となり、地域再生法改正案は継続審議扱いになった。いずれも審議日程の不足が要因。国家戦略特区法改正案は最先端技術の結集により未来都市を形成する「スーパーシティー構想」の具体化を後押しするため、国会に提出された。地域再生法改正案は住宅団地の用途規制を緩和し、立地が制限されていた店舗や事務所など住宅以外の施設整備を促すのが目的だった。
《通常国会で成立した主な法律と施行日》
【国土交通省】
▽改正建設業法・改正公共工事入札契約適正化法=公布(6月12日)から1年半以内(一部規定除く)
▽改正建築物省エネ法=公布(5月17日)から2年以内(一部規定除く)
▽改正奄美群島振興開発特別措置法・改正小笠原諸島振興開発特別措置法=4月1日施行済み
【農林水産省】
▽農業用ため池管理保全法=7月1日
【環境省】
▽改正フロン排出抑制法=公布(6月5日)から1年以内(一部規定除く)
▽改正自然環境保全法=公布(4月26日)から1年以内(一部規定除く)
【経済産業省】
▽改正意匠法=公布(5月17日)から1年以内(一部規定除く)
▽中小企業強靱化法=公布(6月5日)から半年以内(一部規定除く)
【厚生労働省】
▽改正女性活躍推進法=公布(6月5日)から1年~3年以内
【総務省】
▽改正成田国際空港周辺整備財政特別措置法=3月30日施行済み
【内閣官房】
▽デジタル手続き法=公布(5月31日)から9カ月以内(一部規定除く)
【内閣府】
▽第9次地方分権一括法=6月7日施行済み(一部規定除く)
【公正取引委員会】
▽改正独占禁止法=公布(6月26日)から1年半以内
【議員立法】
▽改正公共工事品質確保促進法=6月14日施行済み
▽改正浄化槽法=公布(6月19日)から1年以内
第198通常国会が26日閉会した。国土交通省が提出した改正建設業法と改正公共工事入札契約適正化法(入契法)と、議員立法の改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)からなる「新・担い手3法」が成立。建設業の最優先課題に当たる将来の担い手確保へ向け、改正公共工事品確法で受発注者の基本的責務を規定。その具体策を改正建設業法と改正入契法に盛り込んだ。
国交省が提出した計6本の法律はすべて成立。このうち改正建設業法と改正入契法は1本に束ねて法案を提出した。
改正建設業法と改正入契法の目的は、▽建設業の働き方改革促進▽建設現場の生産性向上▽持続可能の事業環境確保-の3点。働き方改革を促すため、改正建設業法で中央建設業審議会(中建審)が工期に関する基準を作成・勧告し、著しく短い工期による請負契約の締結を禁じる。改正入契法に基づく適正化指針で公共発注者に必要な工期確保と施工時期平準化を努力義務化する。
改正建設業法では建設業許可基準を見直し、経営能力の許可要件となる経営業務管理責任者に関する規制を緩和。建設業経営の5年以上の経験を個人に求めていたが、経営管理責任体制の確保を組織に求める。社会保険加入対策を一段と強化するため、社会保険への加入を許可要件化する。
改正公共工事品確法は、災害時の緊急性に応じ随意契約や指名競争入札など適切な入札契約方式の選択や、債務負担行為や繰越明許費の活用により翌年度にわたる工期設定などの責務を公共発注者に課す。調査や設計などの業務も同法の対象として明確に位置付けた。
このほかに成立した国交省提出の法律には改正建築物省エネ法がある。大規模非住宅建築物(延べ床面積2000平方メートル以上)の新築時に限っている省エネ基準への適合義務対象範囲を拡大。中規模非住宅(300平方メートル以上2000平方メートル未満)を加えた。
国交省以外の政府提案で成立した法律を見ると、公正取引委員会(公取委)提出の改正独占禁止法(独禁法)が成立。入札談合やカルテルなどの取引違反行為を公取委に自主申告した企業に対し、納付を命じられる課徴金が減免される制度を見直す。新たに減免対象となる企業数の上限を撤廃し、実態解明への協力度合いに応じ減額幅を広げる特例措置を導入する。
内閣府が提出した国家戦略特別区域法改正案は廃案となり、地域再生法改正案は継続審議扱いになった。いずれも審議日程の不足が要因。国家戦略特区法改正案は最先端技術の結集により未来都市を形成する「スーパーシティー構想」の具体化を後押しするため、国会に提出された。地域再生法改正案は住宅団地の用途規制を緩和し、立地が制限されていた店舗や事務所など住宅以外の施設整備を促すのが目的だった。
《通常国会で成立した主な法律と施行日》
【国土交通省】
▽改正建設業法・改正公共工事入札契約適正化法=公布(6月12日)から1年半以内(一部規定除く)
▽改正建築物省エネ法=公布(5月17日)から2年以内(一部規定除く)
▽改正奄美群島振興開発特別措置法・改正小笠原諸島振興開発特別措置法=4月1日施行済み
【農林水産省】
▽農業用ため池管理保全法=7月1日
【環境省】
▽改正フロン排出抑制法=公布(6月5日)から1年以内(一部規定除く)
▽改正自然環境保全法=公布(4月26日)から1年以内(一部規定除く)
【経済産業省】
▽改正意匠法=公布(5月17日)から1年以内(一部規定除く)
▽中小企業強靱化法=公布(6月5日)から半年以内(一部規定除く)
【厚生労働省】
▽改正女性活躍推進法=公布(6月5日)から1年~3年以内
【総務省】
▽改正成田国際空港周辺整備財政特別措置法=3月30日施行済み
【内閣官房】
▽デジタル手続き法=公布(5月31日)から9カ月以内(一部規定除く)
【内閣府】
▽第9次地方分権一括法=6月7日施行済み(一部規定除く)
【公正取引委員会】
▽改正独占禁止法=公布(6月26日)から1年半以内
【議員立法】
▽改正公共工事品質確保促進法=6月14日施行済み
▽改正浄化槽法=公布(6月19日)から1年以内
日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら