2022/03/14 ≪速報≫国土交通省 中建審で経営事項審査改正を審議。
CCUS・エコアクション21・WLB等 社会性W点の新項目と配点案を提示。令和5年1月施行を想定。

2022年3月14日(月) 国土交通省は中央建設業審議会総会を開催し、経営事項審査改正について審議されました。

経営事項審査改正の視点として
①担い手の育成・確保
②災害対応力の強化
③環境への配慮を推進するため、①~③に考慮した建設企業の努力を適正に評価することを検討。




改正案は以下5点の見直しを検討するもので、審査基準・評価について検討。

1.ワークライフバランスに関する取組として、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業を評価
2.下請負人に使用される者の労働条件に係る取組として、CCUSを現場で導入している元請企業を評価
3.建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加
4.環境への配慮に関する取組の評価としてISO14001に加え、エコアクション21を追加
5.監理技術者講習受講者の経審上の加点について経審上加点可能な期間を修正

またW点素点の増加によるP点換算式変更について検討。

改正公布 令和4年6月 施行 令和5年1月を想定。




1.ワークライフバランスに関する取組として、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業を評価
建設業の働き方改革を推進するうえで、ワークライフバランスの視点も重要である。
女性を含めた将来にわたっての担い手確保を図る必要があり、 イメージアップのために建設業界全体として取組む必要があるが
上記点について評価項目がないため、評価項目として検討。
具体的には「くるみん認定」や「えるぼし認定」「ユースエール認定」を取得している企業を評価することを検討。

ワークライフバランスに関する取組についての審査基準評価 
「女性活躍推進法に基づく認定」「次世代法に基づく認定」「若者雇用促進法に基づく認定」の配点を以下の表のとおり例示。
経営事項審査も同様に評価基準における各認定の取得をもって以下の評点で評価することを検討。
また複数認定を取得している場合、最も評価の高い認定での加点を検討。




2.下請負人に使用される者の労働条件に係る取組として、CCUSを現場で導入している元請企業を評価
CCUSの就業実績を蓄積するためには、元請業者がCCUSの事業者登録を行った上で、建設現場毎に現場登録を実施し、カード
リーダーの設置等就業履歴の蓄積の為に必要な環境を整備することが必要。
また、令和5年度より「あらゆる工事におけるCCUS完全実施」を目指すこととされている。

経営事項審査における加点要件は、「すべての元請工事において、当該工事に従事する者が就業履歴を蓄積するために必要な措置
(カードリーダーの設置等)を講じている」こととする。

要件
・直近事業年度に施工したすべての建設工事(元請工事に限る)において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー設置等の就業
履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること

評点 15点

・直近事業年度に施工したすべての公共工事(元請工事に限る)において、CCUS上の現場登録及びカードリーダー設置等の就業
履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること

評点 10点

運用上は、要件に該当する旨の誓約書の提出と抽出調査等による確認をもって加点。




3.建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加
現行の加点対象機種は以下6機種。
(ショベル系掘削機・トラクターショベル・ブルドーザー・移動式クレーン・大型ダンプ・モーターグレーダー)。
上記の他「建柱車」や「ロードローラー」等、実際の災害対応において活躍しているものの経営事項審査では加点対象になっていない
建設機械が多く存在するという声があり加点対象機械の拡大を検討。
ロードローラー、振動ローラー、ブレーカー、解体用掴み機、高所作業車のほか、5t未満のダンプも災害対応時に活用される状況を
踏まえ、土砂運搬が可能な全てのダンプを加点対象
に検討。




4.環境への配慮に関する取組の評価としてISO14001に加え、エコアクション21を追加
環境に配慮した取り組みの評価としてエコアクション21の追加を検討。
エコアクション21は認定に当たる審査基準が少なく、認証手続き簡便のため、審査基準・評価は3点を検討。
※ISO14001・エコアクション21どちらも取得している場合は、ISO14001の5点のみを評価することを検討。




5.監理技術者講習受講者の経審上の加点について経審上加点可能な期間を修正
専任の監理技術者として現場に配置可能な期間はもれなく経営事項審査においても加点可能となるよう措置する。




その他の変更点

W評点ウエイトの変更
現行 W1~W10の合計点数 ×1,900/200
    P点に占めるW評点のウエイト 約14.32%

改正 W1~W10の合計点数 ×1,750/200
    P点に占めるW評点のウエイト 約14.40%

W点加点により、W評点が増加しすぎると、経営状況(Y点)や技術力(Z点)の評価のウェイトが下がるので各項目のバランスを
維持する。




その他の審査項目(社会性)における改正
現行 W9 若年技術者及び技能者の育成及び確保の状況
    W10 知識及び技術又は技能の向上に関する取り組みの状況
    合計(最高点)217点

改正 W1 担い手の育成及び確保に関する取り組みの状況内に移動
    合計(最高点)237点
    (WLBに関する取り組み状況 CCUSの導入状況 新設)

現行のその他審査項目(社会性等)(W)の評点



改正案について、委員からは以下のような意見が寄せられた。
・ワークライフバランスについて、認定取り消しのような事例が起きた際、加点が取り消されるようなことがないよう対策を検討して
ほしい。

・ワークライフバランスについて、複数認定を取得している企業はより評価されるべきではないか。

・直近事業年度に施工したすべての建設工事(元請工事に限る)は軽微な工事も含まれるのか?

・全国的にキャリアアップシステムの認知度が低いため、引き続き普及を続けてほしい。

・環境配慮に取り組む企業を引き続き支援してほしい。

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