2024/11/26 政府経済対策の建設業関連施策/建設Gメン強化前倒し、重層構造調査に着手

【建設工業新聞 11月 26日 1面記事掲載】

政府が22日決定した総合経済対策では建設業関連施策も多く盛り込まれた。賃上げ環境の整備の一環で、第3次担い手3法の着実な施行と周知徹底を明記。国土交通省が2025年度予算の概算要求で上げたメニューの一部を前倒しする形で、重層下請構造の実態調査や「建設Gメン」の効率的な運用への体制強化に着手する。中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループ(WG)で「労務費に関する基準(標準労務費)」の議論が進む中、並行して適正な見積もりの普及方策も内部で検討する。

概算要求では建設業界に特有の重層化の実態を定量的に把握する目的で調査費用を計上していた。調査結果を政策立案の参考とし、適正な請負構造などを判断できる指標をつくることも視野に入れる。

建設Gメンの体制強化は、その活動をサポートする「補助員」の民間委託や、現場からの通報の精査・優先順位付けなどで「仕分け」を行うシステムの構築などを概算要求で上げており、その一部に予算配分される予定だ。

中建審のWGでは標準労務費の実効性確保に向け、それに基づく見積もりを業界慣行とする方向で検討が進む。WGと、別途設置する職種別の意見交換で必要な対応を検討しつつ、関連調査などを並行で進める。

公共調達でコスト増加分が適切に転嫁される環境をつくるため、年内にも最低制限価格制度や低入札価格調査制度の運用実態を調査し、運用改善を検討するとも明記した。公共調達全般にわたる取り組みとして国交省以外の省庁が主導的に進めるとみられ、工事・業務への影響も注視される。

経済対策の裏付けとなる24年度補正予算案の規模は13・9兆円。柱別では▽日本経済・地方経済の成長=5・8兆円▽物価高の克服=3・4兆円▽国土強靱化など国民の安心・安全の確保=4・8兆円。

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